格安SIMについて調べていると必ず出会うのが「MVNO」です。何かを略していることはわかるのですが、イマイチよくわからないという方も多いのではないでしょうか。そこで今回はMVNOについて解説します。
MVNOとは、「Mobile Virtual Network Operator」の略で、仮想移動体サービス事業者のことを指します。仮想移動体サービス業者とは携帯電話回線などの無線通信基盤を他の通信事業者から借り受け、独自のサービスをくわえて提供する企業のことです。何を言っているのか、言ってる意味が分かりませんという言葉が聞こえてきそうな気がします。
ではわかりやすく解説していきます。
MVNOを簡単に表しますと、電波を借りて通信サービスをすることです。MVNO事業者が登場するまでのモバイル通信サービスは、自社で移動体通信網設備を持ち、電気通信事業法や電波法に則って総務省から電波利用免許の交付を受けた移動体通信事業者(携帯電話キャリア)しか提供できませんでした。そのため、サービスの内容や利用料金は携帯電話キャリア数社が決めた画一的なものになりがちで、ユーザーにとって 十分な選択肢が用意されているとは言いがたい状況でした。
その状況を改善したのがMVNO事業者です。
MVNO事業者は、携帯電話キャリアから通信網を借りてサービスを提供しています。そのため携帯電話キャリアと同等の料金でサービスを提供しても意味がなく、MVNO事業者のサービスは携帯電話キャリアよりも安価な価格設定になります。その他にも事業者独自のサービス(公共無線LANスポット接続無料など)を付与して差別化を図っています。提供しているサービスもデータ通信のみ(インターネットサーフィンができる)やデータ通信に加え音声通話もできるものなど複数あります。お持ちのスマホやガラケーにMVNO事業者が提供しているSIMカードを差し込み設定することで使用できるようになります。
次にMVNO事業者の特徴をご紹介します。
①携帯電話キャリアの通信網を使用しているため、電波が繋がらないという現象が起こりにくい
既に整備されている携帯電話キャリアの通信網を使用しているため、都心部はもちろん郊外においても安定した通話品質で使用することができます。3G通信はもちろん高速通信である4G・LTEにも対応しています(契約プランによっては3G通信のみのプランもあり)。またMVNO事業者は使用している電波網に違いがあるので、注意が必要です。
ドコモの通信網使用→OCN、IIJ、So-net、b-mobileなど
auの通信網→mineo、UQmobile
softbankの通信網→現在のところなし
②通信制限が厳しい
MVNO事業者は携帯電話キャリアより安価な料金設定でサービスを提供しているため、通信容量に対する制限が厳しいです。例を挙げると、softbankは直近3日間で1GB以上の通信をした場合、当日の6時から翌日6時までの24時間の通信速度を128Kbpsまで制限します。MVNO事業者のIIJの場合、3日あたりの通信量が366MB以上使用したならば通信規制の対象となります。携帯電話キャリア・MVNO事業者共通して通信規制がかかった場合、定められた金額を支払えば通信規制を解除できます。通信規制がかからない料金プランも存在しますので、自分の使用用途に合わせることができますが、通信規制が厳しいことを念頭に置く必要があります。
③最低利用期限が短いものが多い
携帯電話キャリアは2年契約でプランを組むことが多いです。そのため2年以内に携帯電話を解約した場合、解約金を支払わなければなりません。MVNO事業者の場合、音声通話機能をつけなければ、最低利用期限がないプランや1ヵ月のプランがほとんどです。そのためA社のサービスに満足できないのであれば、B社のサービスに変更するといったことが気軽にできるようになります。
上記の3つがMVNO事業者の主な特徴になります。3つの特徴に加え、各MVNO業者独自の施策をプラスしたものが現在市場で提供されているものです。携帯電話キャリアの良いところを利用しているのがMVNO事業者になります。
MVNO事業者のSIMカードの使用方法は
①SIMフリー端末を使用する
②携帯電話キャリアと同じ電波網を使用しているMVNO事業者のSIMカードを使用するなどの方法があります。
こちらはSIMフリーって何? そんな疑問を解消するコラム・SIMロックとは何ぞや? 【コラム】でご確認ください。
以上がMVNOについての説明となります。MVNO事業者のSIMカードを使用するには自分で設定する必要があります。多少面倒ですが、それさえ乗り越えれば、自分に合った料金体制で通信をできるため、現在の通信料金より安価になる可能性もあります。是非ともご使用されてみてはいかがでしょうか